君ケ洞幸輝代表取締社長、君ケ洞 剛一専務、君ケ洞 秀綱常務、君ケ洞京子がヤマキイチ商店の泳ぐホタテにかける想い、そしてお客様への感謝の気持ちをお伝えいたします。
最終回となる第4回は妻、母親としてヤマキイチ商店を支えてきた君ケ洞京子のロングインタビューです。
目次
子育てと仕事に必死すぎて、創業当時の記憶がほとんどないんです(笑)。
社長は記憶力がすごくいいんです。何年頃にこういうことがあって、誰に会ってとかそういったことを本当に良く覚えていて感心するのですが、私は色々なことにチャレンジする社長に付いていくのに精一杯だったし、子供を育てるのに必死だったので、当時の記憶がないんですよね(笑)
運転代行業からワカメ販売に移ったけど、社長は最初から海産物の仕事はしたいって言ってました。
平田でコンブが採れるけど、当時はお店で売っている所があまりなかったんです。それでコンブを売ったら面白いんじゃないかって。
代行運転はそのための資金作りって意味もあったと思います。子供も小さかったし、専務が幼稚園に入る頃だったと思います。
ワカメ販売を始めた頃は人を雇う余裕も無かったし、社長と私、ばあちゃんと自分達で全てやってましたよ。
社長は、1番採りワカメとか目立つようなネーミングを自分で考えたり、袋のデザインも自分でやっててね。よく一人でやってたと思います。
私はノンキなところがあるんです(笑)
最初は売れない時もあったと思いますけど、そういうことは私には全然言わなかったですね。私も「売り上げはどうだったの」とか聞かなかったですし。収入とかそんなに気にしなかったしね。私はノンキなところがあるんです(笑)。
独立する時も相談もなかったですし、ラーメン屋さんでも始めるのかなって思ってました(笑)。海産物とか始めるとか思ってなかったんですよね。社長の中では考えてたと思うけど、私たちにはそんなこと言わなかったですよね。
何もわからないままで、手探り状態で、見様見真似で始めた感じでした。
最初は業務筋向けの商売でしたけど、三陸博覧会が通信販売への大きなきっかけのひとつでした。あんなに人が来ると思わなかったし、毎日毎日ホタテ焼いて、今思うと強烈な忙しさでした。三陸博があったから、これからは海産物の通販に力を入れていこうって感じでしたね。
宅配をやったほうがいいって思いついたのも早かったです。
宅急便も今ほど知られていなかったですし。ヤマト運輸さんが事務所の周りをウロウロ歩いてて。なにしてるのかなあと思ったら、この辺に取扱店がないからお宅でしてくれませんかって言われて。宅配事情もそんな感じの頃から通販を始めたんです。
チラシ1枚で注文してくれたお客様がいることに驚きました。
テレビに取り上げられる前にも盛岡でチラシ入れたりしました。おかげさまでチラシでも結構注文がありまして。全国放送のテレビに取り上げられた時には、数日間電話が鳴りっぱなしで、その時に新規のお客さんがとても増えました。
当時、私がとにかく驚いたのはチラシ1枚見ただけで注文があったことです。私はチラシから注文したことがなかったので、会社も有名じゃないし、どんな人がやっているのかもわからないような会社の商品を買ってくれたことに、本当にビックリしてしまって。こんなチラシでも私達を信頼してくれるのかって。ありがたいなって心から感謝しました。
私達を信頼してくれたお礼がしたくて、注文を頂いたお客様に「このパンフレット一枚に寄せてくれた信頼にお応えする商品をお送りいたしました。本当にありがとうございました。」ってひと言だけなんですけど、お手紙を出したんです。何日かしてからそのお客様から、「こういう誠実で心のこもった文章を送っていただいたことが驚きでした」とお礼のお手紙をいただいたんです。お目にかかったこともない方からのお手紙をいただいて、お客様との目には見えない深いつながりをすごく感じました。短いお手紙のやりとりですが、九州のお客様からスイカが届いたりして、不思議なご縁をいただいていると感じています。
震災後にも、心配してくださったお客様からお手紙やお電話をたくさんいただいて、本当に有り難かったです。電話の向こうで泣いていらっしゃる方とか本当に多くて。
お客様と言うより親戚っていうか。お客様の暖かい人柄を感じます。
それだけ当社の商品に惚れ込んでいただいて、しかも、私達の気持ちというかそこまで気遣ってくれる本当にいいお客様達に応援して頂けて、私たちは本当に恵まれているんだなって。幸せだなって感じます。
お客様の励ましに応えるためにも、頑張らなきゃって思いますし、今まで大事にしてきたことをこれからも引き継いでいかなきゃって思います。それにはお客様に喜ばれる商品を、誤魔化さずにお届けすることが大事だと改めて思います。
私自身がチラシ1枚で買うことはないから、信頼してくれたお客様に感謝を伝えたい。
業務向けの商売から一般のお客様を中心にした路線に変わった時、お客様の違いに戸惑うことはなかったです。
法人業務だったら、「いつもの月の締めです」って書類を送ればいいんだろうけど、やっぱり買ってくれた方に商品と納品書だけ送るのってなんか変ですよね?
普通、お菓子1つ買っても挨拶文のひとつも入ってくることを、当たり前に感じていたので、業務筋だからとか一般のお客様だからとかそういう感じではなかったです。
お客様に送らせていただいている手紙にしても、「すごいですね。」って言われることがありますが、特別なことをしているという感覚はないんです。
私自身がチラシ1枚で買うことはないから、私たちを信頼してくれたっていう感謝の気持ちを伝えたいという単純な想いからです。もうひとつは従業員に恵まれたっていうのもありますね。
従業員には器用な人もいて、文章を綺麗に書いてくれたりとか、クリスマスシーズンにはパソコンでツリーの絵を描いたりとか。私には出来ないけど、お願いすると快く「そういうことなら、こういうのはどうですか?」とか自分なりのアイデアを出して率先してやってくれます。それを自分で楽しみながら、お客様にも暖かい声をかけてくれるから感謝しています。
だから私は従業員の方に恵まれてきたと思ってます。ワカメの作業をする時にも、私よりもずっと年上の人が「奥さん奥さん」って、すごく立ててもらって。私は平田育ちでなかったから、今のような海の仕事みたいなことは全然わからなかったし、ましてや実家はサラリーマンでしたので、海の仕事には縁がないって思ってたんですよ。
同じ釜石でも海側と山側は違いますからね。私は器用でもないし、ワカメの袋詰めだって、「こんな感じでいいのかなあ」って思うような、そんな感じでしたし(笑)。
ずっと年上の人達とか、ばあちゃん達の年代の人達に、「こうやんだよ」って教えられて。だからそういう暖かい従業員の方々に恵まれたんだな、育てられたんだなって思います。
従業員さんも素朴で真面目な方ばかりでしたから。それが1番です。
息子達は会社を守るプレッシャーを負担に感じずにやって欲しい。
長男の専務はサラリーマンを辞めて、2007年に入社して、三男の常務は震災後に戻ってきてくれました。
やっぱり引き継ぐ人がいるっていうのは嬉しいなっていうのはありますけど、私たちは一代目なので、もともと何もなかったものから作ってきたわけですからね。例えば、何かあって会社がなくなったとしても、元に戻ってるって感覚になると思うんです。守らなきゃならないって感じはないから、私自身は負担はないんですよね。正直なところ(笑)
「どうしてもここを残さなければ」とか、「先祖のためにも申し訳ない」とかそういう気持ちっていうのはないんですね。私はね(笑)。嫁に来た人間だからサバサバした考えかもしれないけど、ダメになっても、また初めからやればいいみたいな感覚です。
でも息子達は、守っていかなければならないとか、やっていかなきゃならないとか、そういった負担やプレッシャーは、すごく大きいんじゃないかなって思うんです。
そういう面ではね、「それでいいのかなあ」とか、「申し訳ないなあ」って思います(笑)
私は、息子達が自分から進んで自分のためにここの会社を築いてやるってならOKなんです。そういう気持ちで頑張っているなら、好きにやりなさいって言いたいです。どっちかっていうと私はそういうタイプです(笑)
今は本当に頑張ってやってくれてるけど、負担にならなきゃいいなと思って(笑)
2012年に亡くなったばあちゃんも、息子のために一生懸命頑張って、ヤマキイチを有名にさせたいって頑張ってきた人でね。若いときは朝から晩までワカメの吊しとかコンブの吊しとかやってました。最初の頃は人も使ってないから。コツコツとほんとに・・
でも私は、ばあちゃんみたいに朝から晩まであんなに一生懸命働く姿を息子達には見せることはできないなって。そう思いますよ(笑)
親は子供に対して何も出来ないんです。ただ見守ってあげるだけっていうのかな。
息子達同士が心の底からざっくばらんに話し合うことが出来たらいいなって思います。ここをこうしたほうがいいんじゃないかとか言い合えるような。そういう雰囲気っていうのをね、作っていって欲しいなって思います。
それぞれの個性があって、お互い違う部分もあるけど、同じ釜の飯を食べた兄弟ですからね。ぶつかることもあると思うけど、大事な部分は共有してると思ってますからね。
息子達は本当に一生懸命やってくれてるし、遠くから息子達を訪ねて来てくれる方も多いです。
大阪や九州などからも「ホームページ見てきました!」って、本当に遠くからわざわざ来ていただいて。全国各地、そして海外の方にまでヤマキイチ商店の商品や想いを伝えて、応援していただけているんですから。息子達はプレッシャーが大きくてね、本当に大変だろうなあって思う時がありますけど、自信を持って仕事に向かい合ってくれたらいいなと思います。
親は子供に対して何も出来ないんです。ただ見守ってあげるだけっていうのかな。何もしてあげられなくて歯がゆかったりしますけど、自分の道ですからね。その道を歩む背中を見守ってあげることが親の役目なんだと思います。
泳ぐホタテの詳細は「泳ぐホタテ 商品紹介」をご覧下さい。